福島県田村郡船引き町で、1991年7月24日深夜、小学2年生の石井舞ちゃんが自宅から忽然と姿を消した。家族や友人が同居していた状況下での失踪は、未だに解明されていない衝撃の事件だ。鍵のかかった家から、どのようにして舞ちゃんが連れ去られたのか、その謎は深まる一方である。

舞ちゃんが最後に目撃されたのは、午後10時30分頃。母親が寝ている舞ちゃんを確認した後、入浴中に不審な音を聞いたが、特に気に留めなかった。しかし、翌朝、家族が舞ちゃんの不在に気づくと、家の中には何の痕跡も残されていなかった。すべての靴が残され、衣服も持ち出されていない様子から、まるで何者かに連れ去られたかのようだった。

警察の捜査が進む中、最も疑われたのは同居していた従業員のTだった。彼のアリバイは複数の証言によって裏付けられたものの、行動には不自然な点が多く、依然として疑惑の目は向けられている。特に、舞ちゃんが失踪する前にTが「一緒に出かけよう」と誘っていたという証言が浮上し、事件の深刻さが増している。

さらに、目撃された白い車の存在も捜査の焦点だ。この車は、舞ちゃんの失踪当日に現場近くで目撃されており、何らかの関与が疑われている。警察は、事件発生から1ヶ月間で3900人以上の捜査員を動員し、広範囲にわたって捜索を行ったが、手がかりは見つからなかった。

この事件は、家族に深い傷を残し、時効が成立してもなお真実を求める声が絶えない。舞ちゃんの家族は、今もなお彼女の帰りを待ち続けている。福島県警は引き続き情報提供を呼びかけており、未解決のままのこの事件が、いかに人々の心に影響を与えているかを物語っている。