エルサルバドルにて、世界最大の刑務所「セコ」が2023年1月に稼働を開始し、その存在が注目を集めています。この刑務所は、4万人を収容できる規模を誇り、9メートルのコンクリート壁と3メートルの電気柵で囲まれた要塞のような施設です。政府がテロリストと認定した特に危険な犯罪者のみが収容され、再び外の世界に出ることは許されません。
エルサルバドルは、長年にわたりギャングの支配に苦しんできました。その結果、政府は徹底的な治安対策を講じる必要に迫られ、この巨大刑務所の建設を決定しました。特に、MS13やバリオ18と呼ばれる危険なギャング組織が、無法地帯を作り出していたことが背景にあります。政府は、ブケレ大統領のもと、ギャングとの戦争を宣言し、急速な逮捕作戦を展開。これにより、約7万人のギャングメンバーが逮捕されました。
しかし、この厳重な収容政策には人権侵害の懸念も浮上しています。国連や人権団体からの批判が高まる中、国民の91%が治安政策を支持しているという現実が、政府の立場を強固にしています。セコの中での生活は過酷で、受刑者は完全に隔離され、家族との接触も禁止されています。食事は質素で、衛生状態も悪化しています。
エルサルバドルの未来は、治安改善と人権問題の狭間で揺れ動いています。果たしてこの厳しい政策が持続可能なのか、今後の展開が注目されます。